2024年5月 クイーン・エリザベス「社交場としてのカジノ」太平洋横断クルーズ19泊20日の楽しみ方

2024年5月下旬出発の、クイーン・エリザベスの太平洋横断クルーズにご乗船されたお客様ヒロシさんから、カジノをスマートに社交的に楽しむ極意を教えていただきました。
ヒロシさんは、カジノスクールご出身。ご自身もクルーズ船のカジノディーラーを目指したこともあったそうです。



・カジノに集う人たち
前回2022年、クイーンエリザベスで素晴らしいカジノ経験をさせてもらいましたが、 今回も素晴らしかった。初めてカジノに行った時点で「ヒロシさんですか?」と、 私が来ることが伝わっていることに驚きましたが、ディーラーやスーパーバイザー だけでなく、毎日一緒になる外国のプレイヤーたちも素晴らしかった。

いつも派手な奥さんと一緒で、マフィアの様な強面で高額ベットばかりする男性は、 私のプレイスタイルを理解してからは受け入れてくれた感じで、寄港地で会っても 気さくに挨拶してくれたり、奥さんからも先に周遊してきた日本各地の感想を 楽しく聞かせてもらいました。

一見気難しそうな英国紳士風なお爺さんは、船内ですれ違うと突然大声で 「ブラックジャ~ック!」と驚かせてくれたりと実はお茶目。違うテーブルで 遊んでいても、レアなオプションベットで125倍配当を当てたらわざわざこちらを 向いて自慢してきたので、親指立てて褒めてあげました。

どんな時もケラケラと大声で笑ってテーブルを明るく盛り上げるお姉さんプレイヤー、 私がプレイしていると安心と言って参戦してくる子育てを終えて旅を楽しんでいる お母さんプレイヤー、BlackJackの基本となるベーシックストラテジーに反する選択 を繰り返すのに皆から愛されてるマーリンお婆さん等々、楽しい人々ばかりでした。
特にマーリンお婆さんからは、一度彼女が離席してしばらくして戻ってきた時、 まだ私がいるのを見て「まだ生き残ってるの?」と言うので、Here is my stateroom.(=ここが私の部屋なんだ) と答えて笑わせたら、次に会った時にMy lucky friend.と呼んでくれるように。 ディーラーと一緒に爆笑しました。

スーパーバイザーからは、何やらフィリピンで友達を意味するらしいpreと呼ばれて ましたが、女性ディーラーからはドレスコードRoaring Twenties(ロングクルーズの時だけある、1920年代風の装い)の夜の帽子を被った 私の姿がカッコ良かったとか、(50歳だけど)35歳で通じる、特にいつも隣りに参戦 してくる女性プレイヤーはあなたに気があると言ってた等々聞かされ、男性ディーラー が女性陣に「彼は奥さんを探しているよ」とか言い出し焦ったり。
社交場としてのカジノをこれ以上無いくらい楽しみました。

殆どその場限りで再会しない陸のカジノでは、ここまでの関係は築けません。 お客やディーラーと顔なじみになるクルーズ船のカジノならではの楽しみ方であり、 このためにクルーズ旅行が好きな自分としては大満足でした。


・英語が不得意でもだいじょうぶ!
しかし、ほとんどの日本人の乗客の方々からは勝敗や勝ち方ばかり質問される感じで、 たまにプレイしている日本人もゲーム進行に集中している方が多い印象。 社交場としてのクルーズ船カジノならではの魅力をもっと楽しんでもらえたら 良いのにと、少し残念に思いました。

もちろん、英語が不得意とかあるでしょうが、私も英語は得意では無いし、 よくpardon?と聞き直しカタコトでなんとか答える程度。私の発音が悪くて 伝わらなかった時、お姉さんプレイヤーが何度も聴き直してくれた末にやっと理解 してくれ、大声で笑いながら「やったー!彼の通訳になるわ!」とテーブルを 爆笑させてくれたのは、良い思い出なのです。

日本人同士が日本語で会話すると、もう外国の方は黙ってしまうので、同じテーブルに外国の方がいる場合は、私は相手が日本人ディーラーでもなるべく日本語で話しかけないよう心掛けていました。


・日本人ディーラーは、カジノスクールの先輩だった!
そうそう、このカジノで一番貴重だったのが、この日本人ディーラーの存在です。 カジノに不慣れな日本人でも日本語で教えてもらえる貴重な機会であり、もっと 日本人の皆さんにテーブルゲームに参加して頂きたかった。

日本人ディーラーの存在は、前回お世話になったインターナショナルホストから事前に聞いてはいた のですが、会って吃驚。初対面でしたが、私が卒業したのと同じカジノスクールの 1年先輩でした。過去20回以上のカジノ目的の外国船クルーズ経験で、日本人 ディーラーに出会ったのは初めて。普通のカジノでは出来ない濃いー話を 色々聞けました。(飛鳥Ⅱの純粋なゲームでしかない疑似カジノの日本人 ディーラーは、私の母校の卒業生で、私自身も求人に応募して落ちた過去が ありますが、外国船のリアルカジノで働けている日本人ディーラーは、 超レアで憧れの存在だったりするのです。)

日本人ディーラーがいる外国船カジノの貴重さがどれくらいかと言うと、確か カーニバルクルーズ社全体で3人とか。その1人が乗船していたわけです。カジノ初心者な 日本人客には物凄いラッキーな状況だったのですが、皆さんそれをどこまで理解 されていたのやら。カジノ側も、あまり日本人客向けルール説明会などは積極的に 見えなかったので聞いてみたのですが、以前はもっとやっていたとのこと。 しかし、日本人は説明を聞くだけでお金を使わず、遊んでくれないのであまり やらなくなったとか。

私がBlackJackをプレイしていると、それを見ている日本人の 方は多く、何度も来られる方もいましたが、殆どはそれまで。興味はあるけど一線を 超えられないのなら、勿体ないなと思いました。(こういう話は、陸のカジノでも よく聞く話で、遊んでもらおうとゲームに使える特典チップをカジノが無料で 日本人に提供すると、遊ばずにそのチップをお土産として持ち帰ってしまうとか、 残念なことをされるのでプロモーションをやめたとかアルアルなのです。)


・クィーン・エリザベスのカジノは、紳士的で公正
さて、私がこのカジノが好きな理由として、マシンを使わずにカードをハンド シャッフルしているというのがあるのですが、お客が席を外して一人もいなくなると、 例え数十秒で戻ってきても、その都度カードのシャッフルをやり直すという紳士的な ルールも素晴らしいと思いました。必ず、プレイヤーの目の前でシャッフルされた カードのみをゲームに使う、公正なスタンスなのです。カジノにとってBlackJackは、 ゲーム数をこなせるだけこなすことが重要なので、シャッフルの待ち時間が増えるのは 本来好ましくないのですが、それよりも公正さを重視しているわけです。

当然、BlackJack自体のルールもまとも。これらは、知らない方は当たり前と思う かもしれませんが、実はとても貴重な存在なのです。寄港したビクトリアでも、 下船したバンクーバーでも陸カジノ巡りをしましたが、クイーンエリザベスのような 紳士的なルールのBlackJackを提供するカジノはありませんでした。同じBlackJack でも、カジノによって細かいルールが異なるということ自体知らない人も多い でしょうが、クイーンエリザベスのBlackJackは、お客に不利になる小手先の ルール改悪をしていない、紳士的なカジノなのです。

また、一度中華系の乗客がBlackJackテーブルに集団でやってきて、着席している プレイヤーのゲームに相乗り(勝ちそうな人のゲームに勝手にお金だけ賭け、自分は プレイしない方法)をしようとした際も、ディーラーがそれを阻止しました。 相乗りは、中華圏のカジノでは認められることが殆どですが、欧米や歴史のあるカジノ では禁止が基本です。カジノからすれば、相乗り禁止は賭け金が増える(=利益が 増える)ことに反対するようなものですが、社交場としての存在意義を否定するような 行為を禁止するのは、とても紳士的なルールと言えます。

相乗りは、カジノを ただの賭場にしてしまいますし、争いの元にもなるのです。昔スリランカのカジノで、 私のゲームに、私の10倍の賭け金で相乗りしてきた中国人がおり、私がヒットしようと したら彼がステイしろと怒り、ディーラーが「このゲームは着席している彼のものだ」 と私をかばってくれた事があります。
将来日本でオープンするカジノは、相乗りが 認められるだけでなく、相乗り客の方が着席しているプレイヤーより自由度が高く 賭けられるという酷いルールをカジノ管理委員会が定めてしまっており、 他にもメチャクチャなルールがテンコ盛りで、私は絶対に行きたくありません。

他のクルーズラインと比較しても、ここは改めて貴重なカジノだと思いました。(ただし、8デッキ(組)のカードを使っていて、再シャッフルのためのカットカードの挿入位置がほぼ中央。つまり、半分の4デッキ強しか使わないというのは、極端なカウンター対策だなとは思いました。)


・前回2022年乗船時から変わっていた点
2022年からの変更点としては、以前はクルーズカードでチップを買う際、 3%の手数料を余計に取られたのですが、今回はそれが無くなっており、 改善していました。また、以前はFun21というBlackJack類似の違うゲームの テーブルがあったのが無くなり、1卓だったBlackJackが2卓に増えていました。 お陰で、”ミニマム$5、マキシマム$200”と、”ミニマム$25、マキシマム$500”と リミットの異なるBlackJackが同時に2卓オープンし、賭け金の異なるお客が棲み分け できていました。(カジノが大きなクルーズ船では当たり前ですが、 小さいクイーンエリザベスでどのゲームを提供するかは、なかなか厳しい選択が あるのだろうと思います。)

私自身、カジノ最終日の6/9昼間までは安いテーブルで皆と盛り上がって遊ぶのを 楽しみ、18日間の合計で勝ち越していたので、最後は高いテーブルで一人で純粋に 勝負に集中(高いテーブルで遊ぶ人は少なく、他人が余り参戦してこない)しようと、 夜は全く遊び方を変えて所持金全てを投入。それまでの長く遊ぶための負け辛い 賭け方ではなく、負けを覚悟の短期決戦スタイルに変更。これで負けて大赤字と なりましたが、2卓あることで異なるスタイルで勝負を楽しむことができ、 大満足でした。(親しくなったディーラーからは、安いテーブルに戻ってきなよと 誘われましたが(^^;;)


・カジノのトーナメントにも参加 勝ち方は、、、!?
クルーズ中、BlackJackとルーレットのトーナメントが何度か開催され、私も BlackJackで参加。決勝で負けましたが、とても楽しめました。この時、 日本人の方からトーナメントの勝ち方はあるのか聞かれ、運しかないと答えた のですが、実はこの時に限って言えば、席選びが全てでした。 ディーラーが勝ちすぎて最後の7ゲーム目に皆がオールインするしかない状況に なった中、最後に賭けたプレイヤーが$100残してベットし、最後もディーラーが 一人勝ちしたため、$100賭けずに残した人が優勝したのです。

トーナメントの席選びは予選上位者から選べ、賭け金はゲーム毎に 右のプレイヤーから順番に決めるのですが、ゲーム毎に最初に賭ける プレイヤーの席が左に移動するルールなのです。つまり、最後の7ゲーム目で、 他の全プレイヤーの賭け金を見てから最後に自分の賭け金を決められる有利な席 というのは、最初の席選びの時点で分かるのです。 とは言っても、最後に賭け金を決められることに意味がある程度に 最後のゲームまでにある程度勝てていなければ意味が無く、どの席が勝利に 恵まれるかは運次第。なので私は、慣れた席に座って運に任せた訳ですが、 席選びが重要と考える人もいると答えるべきだったかもしれません。


・ご家族と一緒に楽しめるカジノのビンゴ大会
その他のカジノイベントとしては、母と叔母のためビンゴのある日は全て 参加しました。ゴールデンライオンでの抽選は、3人でビンゴカードに スタンプを押し、一度賞金を獲得することも出来たので良い思い出となりました。

ただこのビンゴ、単純に1列揃えるだけではないので、初めての日本人客の方が 混乱されてました。ゲーム1回目はビンゴカードの1列、2回目は四隅、3回目は2列、 4回目は全ての数字が埋まる必要があるのです。日本語のルール説明は無いので、 混乱するのもの仕方ないでしょう。

・お世話になったカジノクルーへの、ギフトとチップ
母は、旅先でお世話になった人へのギフトをいつも持ってくるのですが、今回は ギフトが余るというので、私がお世話になったカジノチームの11人にギフトを 渡すことに。丁度今回で下船するスタッフ等もおり、良い記念になると喜んでもらえ、 スーパーバイザーからもお礼を言われました。

Sewardでは観光中、休みで自転車観光していたディーラーとスーパーバイザーに 呼び止められ吃驚しましたが、それくらい、カジノのスタッフとは馴染んで いましたし、カジノがオープンしていた全18日間を通して楽しく遊ばせてもらった ことを思えば、渡せて良かったです。

ディーラーへのチップは、自分の賭け金と一緒にデイーラーの賭け金としてベットし、 勝ったら倍額をディーラーに渡せるという方法(ディーラーと一緒に勝とうという ムードが作れて盛り上がる)で合計何百ドル渡したか数えてませんが、お金と別に 形のあるギフトを渡すことは、この船のカジノでは意味があります。

ディーラーへの チップは、渡した個々人に直接渡るのではなく、他のプレイヤーからのチップと全て 合算し、カジノスタッフ皆で均等に分け合います。過去に、個人を名指しで、 下船時に$100入った封筒を何通も送ってくれたお客がいたそうですが、それも 名指しされてないスタッフ含め皆で均等に分け合ったと聞きました。

これは、ディーラーとお客の癒着を防ぐ、カジノ特有のチップのルールであり、 クルーズ船の他のサービスのスタッフへのチップとは全く異なる扱いとなります。 その為、受け取る側としても、そのチップがどのプレイヤーからいくらもらったのか等、 具体的には分からない。あえてそう処理される訳です。

対して、形のあるギフトでお礼すると、癒着防止ルールの抜け道的ではありますが、 個々のスタッフから「ヒロシからだ!」と思ってもらえる。 それでも、特定のディーラーのみに渡すのでは、もしかしたら断られるかも しれないし、受け取る側を困らせる可能性もあったと思うので、カジノの全スタッフ に行き渡るように渡せたのは幸いでした。もちろん、ホワイトスターで個人を褒める のも良いでしょう。(私は、ホワイトスターはカジノチーム宛とし、 チーム全体を賞賛しました。)

私はカジノから、ゲーム中にオーダーするドリンクは全て無料にして もらっていましたが、それを運んでくるウエイターには毎回$5のゲームチップを 渡していました。これだけで計$80くらい払っており、常識的には高すぎると 思うのですが、ミニマム$5のテーブルで$5未満のゲームチップに両替してもらうのが 面倒だったのが最初でした。が、毎回同じウエイターのオジさんで仲良くなり、 私がゲームを始めると背後でオーダーを待ってくれるようになり、パブのゴールデン ライオンでも丁寧に接客してもらえ、おじさんにチップ払うとゲームに勝てるような 気もして(笑)、これはこれで良かったです。

ただ、この話がウエイター間に広まり、 他のウエイターも私のオーダー待ちに来るようになっているとディーラーに 知らされてから、アチャーと。おじさんだけ特別のつもりだったのですが、 最後は別のウエイターにも$5払ってました(苦笑)